お知らせ
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作成日:2025/11/26
ビジネスと人権 〜一考察〜 「社会正義の現状」



 今年もあと一月、社会の変化はめまぐるしく、しかし、戦争や紛争の終結は見込めない2025年の年末、世界の社会正義の停滞について、ILOが報告書を出しました。

なかなか声高にいえない「社会正義」について、ILOがずばりといってくれました。そもそも「社会正義」とは、何か、何のために必要なのか、ILOの報告書を引用します。

「社会正義とは、すべての人間は、人種、信条または性にかかわりなく、自由及び尊厳並びに経済的保障及び機会均等の条件において、物質的福祉及び精神的発展を追求する権利をもつ」ことを意味しています。

そして、それは、道徳的な要請であるだけでなく、社会・経済がより密接に、効果的に機能できるようにする役割もあります。また、持続的・包摂的な成長や平和・安定のために信頼を築き、正当性を高め、生産的な可能性を解き放つ力ともなります。」

『本報告書では、「世界の持続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる」というILO憲章でうたわれた信念を前提に、社会正義の達成に向けた世界的な進展や継続中の課題を測定する主な指標の評価を行った。』

 

今から30年前、186カ国の代表団が参加して開催された第1回世界社会開発サミットでは「社会開発において完全で生産的な雇用が果たす中心的な役割が認められ、貧困の撲滅や社会的包摂との相互関係が指摘されました。同サミットが目的としていたのは、基本的なニーズが依然ととして満たされず、根強い貧困が存在し、失業や社会的排除が深刻化している状況下において、社会開発のためには人間中心の政策枠組みを確立することである」とされました。

「この30年で、著しい成果も見られたが、著しい世界的な不平等はなお存続している。そうしたことから、制度・機関に対する幻滅が広がり、信頼の低下に直面している。多くの人が、自分たちの努力は報われず、社会は不公平であるとの思いを強めている。」

 ILOは、世界における社会正義の現状を分析し、継続した前進を確保するための行動を求める勧告を行います。

社会正義を推進するというILOのビジョンは、4つの柱から成り立っています。

1. 基本的人権と人々の潜在能力:社会正義の基礎を成すものであり、これには基本的な自由や権利の確保が含まれます。

2. 機会への平等なアクセス:社会正義の実現に当っては、教育や訓練、仕事の世界への参加に対する障壁の除去に焦点を当て、それにより人々が十分な生活費を稼げるようにする必要があります。

3. 公平な分配:経済成長による恩恵が公正に分配されることを目標としています。とりわけ、社会で最も不利な立場に置かれている人々への配慮が必要です。

4. 公正な移行:この変化する世界で社会正義を実現するには、誰一人として取り残されることがないように、社会の大きな転換(環境、デジタル、人口動態)のかじ取りを公正に行うための制度の適用、調整、拡大が必要となります。

 

2025年版 ILO駐日事務所による抄訳 ©ILO(国際労働機関)
無力感が漂い、混迷の深まる世界に、勧告は続きます。

         ……次回に続く


先日、長年の夢が叶い、文楽の舞台をみることができました。人形が主体と思い込んでいましたが、浄瑠璃と三味線の圧倒的な迫力に衝撃を受けました。

文楽は、浄瑠璃・三味線・人形が一体となった舞台芸術です。(以下、公益財団法人文楽協会 人形浄瑠璃文楽202511月地方公演パンフレットより)

人形浄瑠璃は江戸時代の大阪で人気を博しました。まず、平安時代に、すでに人形の芸を見せる集団がありました。浄瑠璃節は、東海地方の伝承といわれ、15世紀に都の貴族の間でも語られていました。三味線は、16世紀中頃に中国大陸から琉球を経て伝来した三弦を、当時の弾き手琵琶法師が改良したものです。このように起源の異なる人形芸・浄瑠璃(語り)・三味線が慶長年間(1600年前後)一つとなり、京で操り浄瑠璃が始まりました。

人形は、三人で操ります。「主遣い」は、首(かしら)と右手を担当し、操り手は素顔をさらします。「左遣い」が左手を操作、「右遣い」が脚を操作し、その出で立ちは、黒衣姿(黒子)です。人形が三体、四体、登場となれば、舞台には10人以上の「技芸員たち」が立ち回ります。その立ち回りの舞台の床の音も客は同時に味わいます。

黒衣の人たちの存在と素顔をさらす技芸員の存在を目撃しながら、語りや三味線にのって、物語としては、あたかもそこに、技芸員たちは、存在していないかのように、客は人形たちの物語にひきこまれます。

例えば若い女性の心理描写、打ちひしがれた女性の心理を、ベテラン技芸員と若手の技芸員が、その時代の価値観をも理解しながら、人形の所作で表現していくわけです。その心理劇(語り)は、シェイクスピア劇のような緊張感を、その人形たちの所作は、一種愛らしさを感じさせます。

舞台に立てる技芸員は男性のみ。人手不足は、伝統芸能に容赦なく襲い、技芸員のなり手は少ないようです。


         

 

人形との記念撮影の隣は、1122日に行われた“くれ仁方フェスティバル”の神楽と花火の競演、右4枚は、フィナーレの打ち上げ花火の模様です。

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