お知らせ
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作成日:2023/08/29
ビジネスと人権W



国連ビジネスと人権の作業部会
ミッション終了ステートメント  日本記者クラブ2023.08.04

作業部会は、様々なステークホルダーとのヒアリングから、暫定的評価をされています。

リスクにさらされているステークホルダー集団として、まず女性が挙げられています。
ジェンダーギャップ指数が2023年時点、146カ国中125位という低位、男女賃金格差がなかなか縮まらないこと。
女性はパートの労働契約を結んでいることが多く、非正規労働者全体の68.2%と高い割合を占めている一方、男性の非正規労働者の80.4%の賃金しか稼いでいないという労働構成におけるジェンダーの不平等を指摘されています。
 (私見:これは、以前、どなたかが少子化問題で指摘されていましたが、高齢化、そして明らかに女性のほうが長寿傾向がありますから、年金受給額が少なく、困窮する高齢女性が多く発生する可能性があるという問題にも繋がります。)

さらに、リーダーシップと決済権者のレベルでのジェンダーの多様性促進の必要があり、政府の厳格な措置の導入を促されています。

LGBTQI+の人々について、トランスジェンダーのトイレへのアクセスに関する最高裁判決や、地方自治体のパートナーシップ制度導入等は評価されつつ、さらなる取組の奨励を促されています。

喫緊の課題の一つとして、労働市場と労働力への障害者のインクルージョン。日本政府も行動計画などの正式文書で、障害者の職場へのアクセス可能性の確保、社会へのインクルージョンと参加を促進せねばならないこと。

先住民族
アイヌの人々を先住民族として認識し、2019年「アイヌ施策推進法」が成立したが、人口調査は行われていないため、その差別が可視化されておらず、アイヌの人々が今でも、教育や職場で差別を受けていること。
また、「水産資源保護法」第28条により、アイヌの人々が先住民としての漁業権を正当に考慮されることなく、内水面でのサケの捕獲を禁じられている例、再生可能エネルギー部門を含む様々な開発プロジェクトで、アイヌの人々の自由意思による事前の十分な情報に基づく同意が取り付けられていないということ…
「先住民族の権利に関する国連宣言」に定めるとおり、政府と企業は、土地と天然資源を含め、アイヌの集団的権利を認めるよう強く促されています。

また、同和問題、外国人技術労働者を支援する労働組合等、集会の自由に対する障壁への懸念…

テーマ別では

健康、気候変動、自然環境において
福島第一原子力発電所の事故における被災ステークホルダーから、清掃と汚染除去の取組と同発電所の廃炉につき、強制労働や搾取的な下請慣行、安全性を欠く労働条件の事例を指摘されています。

東京電力の下請業者の中には、規則上は複数の下請業を使うことが禁じられているにもかかわらず、実際、5層にも及んで下層の下請業者は同じ業務をこなしながら、極めて低い賃金しか支払われていなかった等…

政府と東京電力は、福島第一原子力発電所の事故を受けて清掃活動に携わった人々全員の英雄的努力を認識し、多層下請構造を減らすための具体的な策を講じ、労働者の適切かつ遡及的な補償を確保するとともに、労働者の健康上の懸念を労災として認めるべきとのご指摘です。
そして処理水排出に関する懸念…
政府は、水中の核物質の絶対量をはじめ、汚染処理関連のデータをすべて公表することにより、知る権利を充足すべきとのご指摘。

技能実習制度と移民労働者
作業部会は、政府が技能実習制度にまつまる人権問題を多く把握し、検討を加えていると承知しているが、政府に対し、あわせて、出身国政府との連携で仲介手数料を廃止したり、申請制度を簡素化したり、実習生の転職に柔軟性を認めたり、同一労働同一賃金の執行を確保したりといった形で、明示的な人権保護規定を盛り込むことを期待するとのことです。

ヘイトスピーチやヘイトスピーチについての訴訟は、日本の司法制度で審理に何年もの時間を要し、救済への道も閉ざされているという証言…。

メディアとエンターテインメント業界

メディアとエンターテインメント業界の問題についての調査では、この業界の搾取的な労働条件は、労働者に対する労働法による保護や、ハラスメントの明確な法的定義の欠如と相まって、性的な暴力やハラスメントを不問に付す文化を作り出していると、指摘されています。
女性ジャーナリストの性的なハラスメントや虐待について、放送局が一切の救済措置を講じない事例、アニメ業界での極度の長時間労働、不正な下請関係等によって、クリエーターがその知的財産を十分に守られない契約を結ばされている例。

ジャニーズ事務所のタレントが絡むセクシュアル・ハラスメント被害者との面談では、同社のタレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになったほか、日本のメディア企業は数十年にわたり、この不祥事のもみ消しに加担したと伝えられていること。

政府が、20年にわたり、子どもの性的虐待防止に、いくつかの措置を講じてきたことに留意するが、
政府や、この件につき被害者たちと関係した企業が、これについて対策を講じる気配がなかったことは、
政府が主な義務を担う主体として、実行犯に対する透明な捜査を確保し、謝罪であれ金銭的な補償であれ、被害者の実効的救済を確保する必要性を物語っていると、指摘されています。

恥ずかしながら、私自身も把握していない事例もあり、作業部会の方々の広範で詳細な調査力、毅然としたご指摘に敬意を表します。

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