お知らせ
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作成日:2023/08/27
ビジネスと人権V



国連ビジネスと人権の作業部会
ミッション終了ステートメント  2023.08.04 日本記者クラブ

私が衝撃をうけたのは、救済へのアクセスの国家司法メカニズムへの提言です。

作業部会のメンバーが確認した重大問題の一つに、日本での裁判所へのアクセスに対する障壁を含め、司法と実効的救済へのアクセスに関し、特に懸念される分野を特定されたという箇所です。

UNGPs(国連ビジネスと人権に関する指導原則)やLGBTQ+の人々に関するものなど、事業活動の関連で生じるさらに幅広い人権問題に対する裁判官の認識が低いことが挙げられる、と明言されたことです。

さらに、作業部会として、裁判官や弁護士を対象に、UNGPsに関する研修を含む人権研修の実施を義務づけることを強く推奨されています。
また、裁判手続きが長く続くことで、救済へのアクセスが妨げられているステークホルダー等、踏み込んで提言されています。
(先の経済産業省の最高裁判決の裁判官の補足意見は、こうした背景もあるのかもしれないと私は勝手に思いました。)

そうして、政府は、特に社会的に隔絶された集団に対する日本司法支援センターなどのプログラムの視認性を高め、司法へのアクセス改善を図るべきと提言されています。

国家非司法メカニズムとして、日本に専門のNHRI(国家人権機関)の設置を強く促しています。
「国家人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」に沿い、本格的な独立したNHRIを設置し、ビジネス関連の人権侵害を取り扱う明示的な任務と、民事救済を提供し、認識を高め、ビジネスと人権に関する能力を構築し、人権活動家を保護するなどのために十分は資源と権限を付与すべきとのことです。NHRIは、また、他国のNHRIやOECD(経済協力開発機構)の連絡窓口(NCP)との密接な関係も構築すべきといわれています。

日本は、「責任ある企業行動に関するOECD多国籍企業ガイドライン」に基づき、2000年にNCPを設置し、ビジネスと人権のほか、より一般的に、責任ある企業行動に関する紛争を取り扱う明確な権限を与えましたが、その視認性やインパクトに欠けると指摘するステークホルダーが多くいたとのこと。設置から2023年で、取り上げられた事案は、わずか14件であるという事実からも
NCPが救済面で実効的な効果をあげるためには、その視認性や制度能力、専門性を高めるための施策が必要といわれています。

非国家苦情処理メカニズムとして、実効的苦情処理メカニズムの重要性を強調され、内部公益通報開示制度の設置を企業に義務づける「公益通報者保護制度」は正しい方向への大きな一歩といわれています。



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