山田昌弘中央大学教授のお話(日本記者クラブ「全世代型社会保障のあるべき姿を考える」)
続き
社会政策の目的は
1)人々を社会的リスク(病気、失業、長寿、要介護)+ 社会的孤立 から守ること
人々が貧困(孤立)状態に陥らないようにすること、リスクに陥った人をそこから救い出すこと
2)社会的統合を脅かす社会的分断に橋を架けること
貧富の差に代表される社会階層の差を縮める
社会階層の固定化を避けること(世代内、世代間)
しかし、現在の社会保障は、標準的家族を前提としている
例えば、(「サザエさんのような」筆者の例え)、男性であれば望めば正社員になれ、望めば誰でも30歳くらいまでに結婚し、
離婚せずに高齢を迎える(ケアする家族がいる)
これを標準的ライフコースとすると
標準的ライフコースを送る人には、人並みの生活保障がなされ、
標準的ライフコースから外れた人を一律に最低保障に落とし込む
(誤解を恐れずにいえば)、よくいわれる生活保護は、全部失わないと使えない
この中間に置かれた人たちが見捨てられている、公的サポートがない。
リスクにさらされている
分断が生じている
共働き世帯が増えていると言っても
二人とも正社員で共働きというのと、二人とも非正規社員で共働きというのは違う
明らかに前者は、減っている。
しかし、近代家族幻想は強力で、自己責任、自助が求められる。
そうすると、家族をもつことがリスクとなる、
家族で助け合うのは、いいことのようだが、助けなければいけない人たちが多くなると貧困に陥るリスクが増す。
未婚化、少子化、離婚、虐待の温床になる。
リスクがあるような結婚、出産はしなくなる。
それでも四分の三が結婚し、四分の一が未婚と言う状態は見過ごされ、平成の間続き、
それぞれの世代が年をとり
日本社会構造全体が悪化していった。
2015年 35歳から44歳の親同居未婚者は300万人
奨学金を抱える人約半数
山田先生ご本人がいわれるように
日本の将来は暗い感じです。
それではどうすればいいのか
抜本的な社会保障制度の組み替えと制度の内側の人の負担増が必要だろうと。
しかし、制度の内側に入っている人が負担増を受け入れるだろうか?
そこには共感の壁がある。
少子高齢化で労働人口減少だが、グローバル化に耐えられるか?
お金とマンパワーの問題あり。
打ち手は?
山田先生の著書は中国や韓国でよく読まれているそうです。
反面教師とされているようです。
山田先生の新著のタイトルになるかもしれませんが
「幸せに衰退するニッポン」
「格差はバーチャルで埋める」のかニッポン
現状は、かなり厳しい。
打ち手もたやすく見つかりそうもない。
けれど、現状を認識しないと始まらない。
山田先生のお話の終わりで
クリントン元大統領の演説の一部が紹介されました。
「過去は過去、過去にしがみつくと未来を失う」
一方、世界人口は80億人を超えたとのこと。
SDGs経営無料体験講座
11月30日(水)10:30〜
お申し込みはお問い合わせページから
作成日:2022/11/20
少子化についてU